抄録
消化器外科手術において汎発性腹膜炎などの創分類classⅢ以上の症例ではSSIは依然高値である。今回,消化管穿孔による汎発性腹膜炎手術でのincisional SSI(以下,I-SSI)予防に持続吸引皮下ドレーンが有用かをretrospective検討した。2006年4月から2011年12月までの期間で,上部消化管を除く消化管穿孔例97例を対象に,持続吸引タイプ皮下ドレーンの有無でI-SSIの発生率を比較した。全体における皮下ドレーン留置群のI-SSIは12.9%で,非留置群の37.9%と比較し有意(p=0.0097)に低率であった。特に大腸穿孔でI-SSIが54.5%から7.1%まで低下した。皮下ドレーンは,使用症例を創分類Ⅲ以上の汚染手術とし,ドレナージチューブの抜去時期,効果的な留置に留意すれば,I-SSIの予防に有効な手段である。