抄録
はじめに:胃癌穿孔に対する治療は,急性腹症とて sepsis からの全身状態の改善を図ることと,癌として根治性を損なわずに治療を行う,という二つの目的があるが治療方針決定に難渋することがしばしばある。対象:2004年8月から2012年7月の間に上部消化管穿孔の入院例は321例で,154例が胃穿孔であった。そのうちの10例に胃悪性腫瘍による穿孔を認めた。成績:保存的治療が先行された症例は2例(20%)であった。残りの8例は一次治療として手術が選択されていた。5例(50%)が13ヵ月以内に癌死であった。3例(30%)が在院死亡と予後は極めて不良であった。まとめ:胃癌による穿孔は高齢者で高度進行例も多く,予後は極めて不良であった。生命危機回避を最優先し,治療方針を決定することが肝要であると考えられた。