2013 年 33 巻 8 号 p. 1311-1314
症例は77歳,男性。D2郭清を伴う幽門側胃切除術の1ヵ月後に,右季肋部痛を主訴に救急外来を受診した。急性胆囊炎と診断し,開腹胆囊摘出術を施行した。切除標本では胆囊結石を認めず,胆囊壁は壊死に陥っていた。急性無石胆囊炎は発症が急激で,胆囊壊死や胆囊穿孔を伴う場合極めて重篤な転帰をとり,予後不良とされる。発症原因はさまざま報告されており,外科手術も原因の一つとされているが,術後早期に発症した無石胆囊炎の報告は少ない。また本症例では,炎症が高度であり,安全に手術を遂行するために胆囊粘膜破壊術を選択し,良好な経過をえた。高度な炎症を伴う胆囊炎に対して胆囊粘膜破壊術は安全に行える術式と考えられる。