日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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特集:腹部救急治療としてのヘルニアの診断と治療
大腿ヘルニア嵌頓47症例の臨床的検討
濱田 剛臣池田 拓人島山 俊夫田中 俊一塩月 裕範千々岩 一男
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2014 年 34 巻 1 号 p. 69-72

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抄録

大腿ヘルニア嵌頓は高齢者で緊急手術の対象となることが多く,絞扼すると生命にも関わる。2003年1月から2011年9月までに当院で緊急手術を施行した大腿ヘルニア嵌頓症例47例をretrospectiveに検討し,非腸切除群と腸切除群に分類し,その臨床的特徴と予後不良因子を検討した。小腸が嵌頓していた42例(89%)のうち21例(44%)に腸切除が施行された。腸切除群は非腸切除群に比較し,イレウス症状が多く(p=0.01),手術に至る日数が長かった(p=0.01)。死亡例は4例(8.5%)で,軽快例に比較し,手術までの日数が長く,術前検査でTPの低値,CPK値,CRP値の有意な高値を認めた。多変量解析でCPK高値が独立した予後規定因子であった(p=0.0409)。大腿ヘルニア嵌頓による高齢者の腸管切除を回避し,死亡例を減少させるためには,早期診断と治療およびCPK高値に対する注意が重要である。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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