日本腹部救急医学会雑誌
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特集:腹部救急治療としてのヘルニアの診断と治療
ヘルニア緊急手術におけるKugel法
三宅 邦智瀬下 明良板橋 道朗亀岡 信悟
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2014 年 34 巻 1 号 p. 73-75

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抄録

鼠径部ヘルニア,閉鎖孔ヘルニアは嵌頓により腸閉塞や腹膜炎をきたす疾患である。また今後高齢者社会において鼠径部ヘルニアや閉鎖孔ヘルニアは増加すると思われる。しかしながらヘルニア緊急手術においては腸閉塞,腸切除などの種々の問題があり,術式やメッシュの使用には一定の見解を得ていない。今回当科におけるヘルニア緊急手術時のKugel法について報告する。ヘルニア緊急手術でKugel法を6例に施行した。大腿,閉鎖孔ヘルニア症例は4例で平均年齢85.3歳(78~94歳),手術時間は平均76.6分(69~167分),出血量は平均5.5g(3~10g),術後在院日数は平均11.2日(6~17日),術後合併症はなく,再発症例も認めていない。高齢者が多い中Kugel法は低侵襲であり,問題なく行えた。ヘルニア緊急手術においてKugel法は汚染が高度でなく腹膜前腔の洗浄を十分に行えば有用な術式だと考えられた。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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