2014 年 34 巻 1 号 p. 77-79
【目的】当科における腸管切除術を要した鼠径部ヘルニア嵌頓症例に対するメッシュ使用の安全性につき報告する。【方法】2004年5月から2013年10月までに当科で施行した腸管切除術を要した鼠径部ヘルニア嵌頓18例を対象とし,手術術式を中心に検討した。当科では,腸管切除術を要した鼠径部ヘルニア嵌頓症例に対し,膿瘍症例,穿孔症例,大腸切除術を要した症例以外にはメッシュを用いたtension-free法を選択している。【結果】18例におけるヘルニア門の修復法はtension-free法11例(クーゲル法7例,メッシュプラグ法4例),従来法7例であった。メッシュ感染は全例で認めなかった。異なる皮膚切開創から腸管切除術を施行した症例は5例であった。【結論】腸管切除術を要する鼠径部嵌頓ヘルニアに対するメッシュの使用は,膿瘍や穿孔,大腸切除症例を除けば安全に施行できると思われた。