日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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原著
胃切除後輸入脚閉塞症10例の臨床的検討
豊川 貴弘山下 好人山本 篤清水 貞利井上 透西口 幸雄
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2014 年 34 巻 3 号 p. 599-606

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抄録

【はじめに】輸入脚閉塞症は胃切除術後のまれな合併症の一つで,ときに致命的な経過をたどる疾患である。【対象と方法】1993年5月から2010年12月までの間に,われわれが経験した輸入脚閉塞症10例を対象に臨床像について検討を行った。【結果】男性9例,女性1例で,平均年齢は65.9(47~83)歳であった。発症時期は術後早期・晩期に関係なく発症していた。特徴的なCT所見により80%は術前診断可能であった。保存的治療で改善した症例は3例で,7例に手術を行った。穿孔を1例,膵炎を1例に併発し,穿孔を起こした1例は術後MOFのため在院死した。【結語】本症の診断には腹部CTが極めて有用であり,穿孔・壊死または重症膵炎に至る前に診断・治療を行うことが予後の改善に肝要である。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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