抄録
症例は65歳,女性。腹痛を認め近医受診。腹部レントゲンで腸閉塞と診断され入院。イレウス管を挿入し経過観察するも改善を認めないために当院紹介入院。入院時のCTで右腎盂のサンゴ状結石,右膿腎症,右腰部皮下膿瘍,腹腔内全域に膿性腹水を認めた。Free airは認められなかった。汎発性腹膜炎の診断で緊急開腹手術施行。術中所見で腹腔内に白苔を伴った膿性腹水を多量に認め,右腎周囲に高度の炎症象を認めた。消化管穿孔の所見はなく,右膿腎症による腹膜炎と診断し,腹腔洗浄ドレナージ術と右腎摘出術を施行した。消化管に閉塞起点となる病変は認められず,入院時に認められた腸閉塞は,汎発性腹膜炎に伴った麻痺性イレウスであると診断した。術後は,腎摘出時に損傷した下十二指腸角の縫合不全を認めたが改善し術後4週間で紹介元の病院へ転院となった。膿腎症を起因とした汎発性腹膜炎は比較的まれと思われ若干の文献的考察を加え報告する。