抄録
症例は71歳の男性。1年前に胃癌に対し胃全摘術を施行した既往があった。急激に発症した上腹部痛を主訴に当院救急外来を受診された。腹部CT検査にて著明に拡張した輸入脚を認め,急性輸入脚閉塞症の診断で同日,緊急手術を施行した。輸入脚は捻転し絞扼され,捻転部より口側の輸入脚は著明に拡張していた。あきらかな穿孔や壊死の所見を認めず,捻転解除術を施行した。術後,炎症反応高値が遷延し,精査にて広範囲にわたる後腹膜膿瘍の存在が判明した。第7病日に緊急開腹術を施行し,後腹膜膿瘍のドレナージを行った。術後の精査にて,遅発性十二指腸穿孔が後腹膜膿瘍形成の原因と考えられた。全身状態の改善を待ち,第19病日に膵頭十二指腸切除術を施行した。第49病日に軽快退院された。胃切除術後の輸入脚絞扼性イレウスは早急な外科的処置が必要とされる救急疾患である。遅発性の十二指腸穿孔に至った経緯を含めて,文献的考察を加え報告する。