2014 年 34 巻 6 号 p. 1153-1157
症例は35歳女性。便秘,腹痛を主訴に来院した。腹部CTで結腸に多量の便塊と小腸から結腸にかけて高度の拡張を認め,宿便性腸閉塞の診断で入院となった。保存的治療を試みたが,さらに発熱,炎症反応高値を認めたため閉塞性腸炎の診断で緊急手術を施行した。下行結腸で硬便が数珠状に連なり閉塞していた。横行結腸で双孔式人工肛門を造設した。術後は一旦経口摂取可能となったが再度腹部の膨隆が強くなった。腹部CTで腸管外にairを伴う多量の腹水を認め,消化管穿孔の診断で術後5日目に再度,緊急手術を施行した。腹腔内には便汁が充満し,人工肛門より口側の横行結腸に壊死,穿孔を認めた。拡大結腸右半切除および回腸ストマを造設した。敗血症性ショックとなったが2回目の手術より14日目に軽快退院となった。今回,健常な若年者が宿便性腸閉塞から閉塞性腸炎,大腸穿孔をきたした症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。