抄録
【目的】内視鏡,血管造影で診断,治療を行った大腸憩室出血例の検討を試みた。【対象と方法】内視鏡診断は透明フードで憩室を吸引,反転し行った。大量出血例は血管造影による診断も試みた。憩室出血172例を対象に内視鏡,血管造影による診断と治療の成績を検討した。【結果】大量出血3例に血管造影を施行,2例は活動性出血所見を認めIVRを行った。血管造影で診断できなかった1例を含む170例中139例は内視鏡診断できたが,31例は診断できなかった。うち124例に止血術を行い,107例は止血しえたが,17例で再出血した。うち 5例は内視鏡的に再止血しえたが,12例は止血困難であった。止血困難の12例に血管造影を施行し活動性出血所見はなかったが,クリップを指標にIVRを施行した。IVRを施行した14例全例が止血しえた。偶発症ではIVR施行例の4例で腹膜炎を,1例で穿孔を認めた。【結論】憩室出血の止血には確実な内視鏡診断が必要である。大量出血例や内視鏡的止血術困難例には血管造影による診断と治療が有効であるが,偶発症に注意が必要である。