日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
診断的腹腔鏡が有用であった透析患者に発症した宿便性横行結腸穿孔の1例
今 裕史
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2014 年 34 巻 7 号 p. 1405-1408

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抄録
症例は84歳の女性。末期腎不全のため他院で11ヵ月前より外来維持透析を受けていたが腹痛,嘔吐を主訴に当院救急外来受診し入院となった。翌日,白血球数,CRPが著増したため腹部CTを施行,横行結腸の宿便と腹腔内遊離ガス,腸管外の便塊を疑わせる所見を認めたため宿便性大腸穿孔の疑いで緊急手術を行った。術前に穿孔部の同定が困難であったため,まず,臍部より腹腔鏡を挿入し腹腔内を観察したところ,横行結腸脾彎曲部付近に便の漏出を認めたため上腹部に開腹創を拡げ,穿孔部を縫合閉鎖し洗浄ドレナージを施行した後,口側横行結腸にストマ造設を行った。術後はおおむね良好に経過し93日目に転院となった。診断的腹腔鏡により穿孔部を同定できたことにより過大侵襲を回避することができ良好な結果が得られた。
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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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