日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
症例報告
腹腔鏡下虫垂切除術を施行した虫垂結石を伴う急性虫垂炎の1例
田口 大輔上田 正射池永 雅一谷田 司高 正浩家出 清継津田 雄二郎中島 慎介松山 仁山田 晃正
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 46 巻 2 号 p. 133-137

詳細
抄録

症例は19歳,女性.右下腹部痛のため,近医を受診し,急性虫垂炎を疑われ当科へ紹介された.腹部単純X線像で右下腹部に高吸収陰影を認め,腹部単純CTで虫垂根部より1cm末梢側虫垂内の輪状の高吸収陰影と,その末梢側虫垂の腫大を認めた.虫垂結石を伴う急性虫垂炎を疑い,腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.切除標本内に14mm大の虫垂結石を認めた.術後経過は良好であり,術後2日目に退院した.虫垂結石を伴う急性虫垂炎は稀であり,穿孔や膿瘍形成のリスクが高く,重症化しやすいとされている.本症例は受診時の炎症は軽度であったが,虫垂結石を有すると考えられたことから早期に手術を行った.抗菌薬が発達した近年では保存的に軽快が得られる急性虫垂炎の症例も多いが,虫垂結石を伴う虫垂炎の場合は重症化のリスクが高く,積極的に手術を考慮する必要があると考えられる.

著者関連情報
© 2021 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top