2015 年 35 巻 1 号 p. 147-151
症例は71歳,女性。主訴は腹痛。腹部所見とCT画像から急性汎発性腹膜炎,消化管穿孔と診断し緊急手術を行った。腹腔内は便で汚染され,直腸S状部に1cm大の憩室穿孔を認めた。また,小腸から盲腸にかけて,広範囲に虚血を認め非閉塞性腸間膜虚血と診断した。穿孔部にはHartmann手術を行った。腸管の虚血は,切除となるとほぼ全小腸となるため,温存を目指し,滅菌した市販のポリエチレン袋の口を創部に被せ,周囲の皮膚に全周縫着して手術を終了した。術後は人工呼吸器管理とし,ポリエチレン袋の底を解放し,ベットサイドで連日用手的に全小腸を観察した。第4病日,温存可能と判断し閉腹,第41病日に退院した。ポリエチレン袋を縫着するのみのopen abdominal managementは,手術操作が極めて簡便で,外から透見できるだけでなく,いつでも繰り返し容易に全腸管の用手的観察が可能であり,極めて有用であった。