抄録
症例は75歳,女性。2010年より多発性骨髄腫の診断で当院血液内科通院中であった。2014年1月,咽頭痛を主訴に当院血液内科を受診,胸部単純X線検査で右横隔膜下に遊離ガスを認めたため当科紹介となった。腹部造影CT検査では腹腔内遊離ガスのほか,壁内気腫を伴う拡張腸管を広範囲に認め,気腹症を伴った腸管囊胞性気腫症と診断した。血液検査ではCRPの上昇を認めたが,発熱,腹痛はなく腹膜刺激徴候も認めなかったため,保存的加療の方針とした。入院後も症状増悪なく経過し,第6病日に施行した腹部造影CT検査では腹腔内遊離ガス,腸管壁内気腫は完全消失していた。第11病日に退院となった。気腹症を呈する腸管囊胞性気腫症では消化管穿孔を疑い緊急開腹手術が施行される報告もあるが,本症例のごとく腹膜刺激徴候を認めない場合は保存的加療で回復する可能性が高く,手術適応については慎重に検討する必要があると思われた。