2015 年 35 巻 4 号 p. 449-452
症例は82歳の男性で,2型糖尿病の既往がある。約1週間の37℃程度の微熱と食欲低下,繰り返す嘔吐を主訴に来院した。血液検査で炎症反応と血糖値の上昇を認めた。腹部CTで小腸ガス貯留を認め,腸閉塞と診断され,緊急入院となった。第2病日,下腹部痛の増強と腹部CTで骨盤内遊離ガスを認め,消化管穿孔を疑い試験開腹術を実施した。術中所見では消化管穿孔を認めず,膀胱壁の握雪感と浮腫状変化を認めた。膀胱鏡検査で粘膜下に気泡の貯留を認め気腫性膀胱炎と診断した。尿道カテーテル挿入,抗生剤投与,絶食,血糖コントロールを行い,炎症反応は改善し,膀胱壁のガス像も消失し退院した。消化管穿孔との鑑別に苦慮し,試験開腹術を施行した気腫性膀胱炎の1例を経験したので報告する。さらに,その後,11ヵ月間に気腫性膀胱炎を6例経験したのであわせて報告する。