日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
手術後に胃潰瘍穿孔を発症した胃石イレウス
萩原 正弘岡田 一郎霧生 信明小井土 雄一
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2015 年 35 巻 5 号 p. 683-686

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抄録

胃石の合併症にはイレウスと胃潰瘍がある。今回,胃石イレウスの手術後に,胃潰瘍穿孔を発症した症例を経験した。72歳,男性。腹痛で救急搬送された。腹部全体に圧痛,反跳痛があり,動脈血液ガス検査で代謝性アシドーシスを認めた。CTで胃と小腸の拡張および門脈ガス血症,小腸壁内ガスを認めたため小腸壊死を疑い緊急手術を施行。Treitz靭帯より170cmの小腸が閉塞していた。その口側で胃石と思われる黒褐色の腫瘤が嵌頓し,小腸の虚血性変化および一部壊死を認めたので,小腸部分切除を行った。胃内にも胃石を疑う2個の腫瘤を触知したので,胃体部前壁を切開し摘出した。術後12日目に消化管穿孔,汎発性腹膜炎を発症して再手術を行った。胃前庭部前壁の小弯側に潰瘍の穿孔を認め,幽門側胃切除術を施行した。また回腸末端にも遺残胃石を認め摘出した。胃石イレウスと診断した際には,多発結石,胃潰瘍形成の可能性を考え術中の詳細な確認,術後のフォローが重要である。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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