抄録
60歳代男性,大酒家であったが2ヵ月前から食思不振を呈し,突然の腰腹部痛と悪寒戦慄,嘔吐および40℃の発熱を訴え来院した。腹膜刺激症状と右鼠径部の膨隆および末梢循環不全を認め鼠径ヘルニア陥頓による腸管虚血を疑った。緊急開腹手術では明らかな腸管虚血を認めなかったが,入院時血液培養からAeromonas hydrophilaが検出されたため敗血症による急性循環不全と診断した。明らかな感染経路は特定できず腸管からのBacterial translocationが疑われた。敗血症に準じた抗菌薬投与と人工呼吸器管理による集中治療によって救命し得た。患者はアルコール多飲による慢性肝炎と食思不振で免疫低下状態にあったと推察された。免疫低下状態の患者で急性腹症を伴う重症敗血症を呈した場合は,原因の一つとしてAeromonas hydrophilaを念頭に置いた検査や治療が必要である。