日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
特集:ERCPのトラブルシューティング
ERCPの早期偶発症の予防と対策
─出血,穿孔,急性膵炎,胆道炎,ステントトラブルを中心に─
新後閑 弘章前谷 容大牟田 繁文権 勉成齋藤 倫寛徳久 順也成木良 瑛子
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2016 年 36 巻 1 号 p. 63-71

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抄録
ERCP関連手技は偶発症発生率の高い手技であり,熟練した胆膵内視鏡専門医が行ってもさまざまな偶発症が発生する。ERCP関連手技の早期偶発症の予防と対策について述べた。乳頭処置後出血は動脈性出血ではIVRなどが必要になることもある。穿孔は消化管穿孔,乳頭部穿孔,胆管穿孔に分けて考え外科的治療が必要なこともある。急性膵炎は一時的膵管ステント留置,Wire guided cannulation,NSAIDs投与が有効と考えられている。胆管炎,胆囊炎はドレナージが必要なことが多い。ステントトラブルは閉塞,逸脱・迷入,出血などの病態によって対応が異なる。バスケット嵌頓はエンドトリプターやESWLなどで対応することができる。ERCP関連手技において偶発症発生は不可避であり時に重症化することがあり,もし偶発症を疑った場合には迅速に正確な診断を行い,それに対する適切な対処が重要である。
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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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