2016 年 36 巻 3 号 p. 599-604
症例は68歳の男性。201X年1月,腹痛・下痢のため当院に入院し,回腸炎の診断で保存的に加療され,退院した。2ヵ月後,夕食後に下腹部痛を自覚した。急激に増悪したため,当院に救急搬送された。CT検査にて,大腸穿孔による汎発性腹膜炎と診断され,緊急手術を行った。開腹所見では,腹腔内に大量の腹水と便塊が貯留し,S状結腸に約3cmの巨大な穿孔を認め,穿孔部を人工肛門として挙上して手術を終了した。術後ICU管理となり,3ヵ月後に退院した。2ヵ月目の大腸内視鏡検査にて,Rs直腸に全周性の狭窄所見を認め,生検組織所見と画像所見から狭窄型の虚血性大腸炎と診断した。初回手術後7ヵ月目に狭窄部の直腸を人工肛門を含めて切除し,S状結腸・直腸端端吻合を行った。虚血性大腸炎が直腸に発症することはまれだが,直腸狭窄に伴う結腸穿孔を合併することもあるので,直腸癌との鑑別診断も含め治療は慎重に行う必要があると思われた。