日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
縦隔気腫頸部皮下気腫を呈したS状結腸穿孔性腹膜炎の1例
川村 紘三片桐 義文
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2016 年 36 巻 4 号 p. 733-737

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抄録

症例は88歳,男性。便秘,腹痛を主訴に当院を受診した。腹部は膨満し筋性防御を認めた。CT検査でS状結腸の壁肥厚,口側結腸の拡張,後腹膜に便塊を伴った気腫像,縦隔気腫,両側頸部に皮下気腫を認めた。S状結腸穿孔性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した。S状結腸の腸間膜側に2cm大の穿孔部位が存在し,肛門側に全周性の腫瘍を認めS状結腸癌閉塞による大腸穿孔と診断しハルトマン手術を施行した。術後は集学的治療を施行し,経過は良好で術後48日目に退院した。本邦で縦隔気腫を伴う大腸穿孔は12例の報告があるのみである。後腹膜気腫,縦隔気腫,皮下気腫と広範な気腫を形成したS状結腸穿孔症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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