2016 年 36 巻 4 号 p. 791-795
症例は71歳,男性。脳梗塞にて入院中であった。嘔吐および腹部膨満が出現し,イレウスの診断でイレウス管挿入を行った。保存的加療にて軽快したため精査を行ったが器質的病変は認めず,抗精神病薬の長期内服に伴う麻痺性イレウスと診断した。イレウス管抜去後8日目にイレウスが再燃したため,イレウス管の再挿入を行った。翌日イレウス管の排液が血性に変化し,腹部単純CT検査にて腸重積症と診断し緊急手術を施行した。術中Treitz靭帯より20cm肛門側の空腸がイレウス管のバルーンを先進部として肛門側空腸に順行性に重積している所見を認めた。重積腸管は壊死しており空腸部分切除術を施行した。摘出標本に腸重積症の原因となるような病変を認めず,イレウス管留置を契機とした腸重積症と診断した。腹部手術歴のない麻痺性イレウスに対するイレウス管留置が原因で発症した腸重積症の1例を経験したため,文献的考察を加え報告する。