2016 年 36 巻 6 号 p. 1027-1032
【方法】過去29年間に経験した脾損傷150例を,治療方針により3群(Ⅰ期:手術主体(1988~1995,40例),Ⅱ期:積極的TAE(1996~2002,41例),Ⅲ期:早期開腹(2003~2016,69例))に分け,TAEの功罪について検討しつつ治療の成功率(治療方針の変更有無)と脾温存率について比較した。【結果】治療方針の変更が各期に7%,17%,9%あった。Ⅱ期には初療でTAEを行った11例中5例で後に脾摘となり,これらはすべてCTで造影剤の脾外漏出を伴っていた。また疼痛管理のため持続硬膜外麻酔を要した症例と,一旦退院後に脾梗塞・膿瘍・胸水で再入院を要した症例を経験した。Ⅲ期には循環動態不安定と,CTで造影剤の脾外漏出を認めるものは開腹適応とし,温存術を意識した。結果,最終的温存率は各期で43%,51%,78%であった。【結語】現行の治療方針は途中変更が少なく温存率を最も高くできる。