日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
突然の下血を契機に診断に至った魚骨によるS状結腸膀胱瘻の1例
上坂 貴洋奥田 耕司
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2016 年 36 巻 6 号 p. 1077-1080

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抄録

症例は76歳,女性。下腹部膨満感を主訴に当院消化器内科を受診し,その後2ヵ月間憩室炎および膀胱炎として保存的に治療されていた。突然の下血を認めたため再受診し,腹部CTでS状結腸内の異物による憩室穿孔および膿瘍形成,結腸膀胱瘻が疑われたため,同日当科紹介,緊急入院となった。バイタルサインが安定していたため準緊急でS状結腸切除術および膀胱部分切除術を施行した。摘出標本ではS状結腸の憩室に30mm大の魚骨が迷入,結腸壁を貫通しており,これが原因で結腸穿孔および結腸膀胱瘻を形成したものと考えられた。魚骨による結腸膀胱瘻の形成は比較的まれであり本邦での報告は過去2例しかない。若干の文献的考察を加えて報告する。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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