2017 年 37 巻 1 号 p. 039-043
症例は81歳,女性。繰り返す嘔吐を主訴に前医を受診し,上部消化管内視鏡で胃内腔の狭窄を認め,当院紹介となった。腹部CTで十二指腸球部に点状石灰化を伴う充実性腫瘤と胃壁の陥入を認めた。上部消化管造影検査で胃体部の狭窄と,十二指腸球部の陰影欠損を認めたため,石灰化を伴う胃腫瘍を先進部とする胃十二指腸重積症の診断で緊急手術を行った。腹腔鏡下に胃壁の重積を確認し,Hutchinson手技を行い整復した。術中内視鏡で重積の原因は胃体中部の1型進行胃癌であると判断したため定型的な幽門側胃切除術,D2リンパ節郭清を施行した。病理学的に腫瘍は4.5cm大の粘液癌でpT1b(SM2) pN0 M0,fStageⅠA(UICC TNM分類第7版)と診断された。石灰化を伴う早期胃癌は非常にまれであり,Ball valve syndromeで発症したことで発見され,治癒切除し得た症例を経験したので報告する。