日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
原著
閉鎖孔ヘルニア症例の特徴と治療成績
吉田 祐五井 孝憲呉林 秀崇森川 充洋小練 研司村上 真廣野 靖夫片山 寛次
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2017 年 37 巻 3 号 p. 393-398

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抄録

当科で経験した閉鎖孔ヘルニア29症例を対象とし,周術期成績,治療法について後ろ向きに検討した。年齢中央値は87歳,BMI中央値は16.7,男女比は2:27であり痩せ型の高齢女性に多かった。全症例において腹部CT検査で診断が得られ,緊急手術が施行された。腸管切除群13例と非切除群16例に分けて検討したところ,術前CRP値や発症から手術までの時間は腸管切除群で有意に高値であった。また手術時間,術後合併症,術後在院期間は腸管切除群で有意に増加していた。嵌頓腸管の整復方法について牽引法と水圧法で比較を行ったが,水圧法群において腸管切除率や整復時の腸管損傷率はより少なかった。腸管穿孔や嵌頓腸管の切除を回避するためには早期診断・早期手術が重要であり,嵌頓腸管の整復は水圧法を第一選択とするべきであると考えられた。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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