2017 年 37 巻 4 号 p. 537-541
2008年4月から2014年3月までの6年間に兵庫県立淡路医療センターで経験した80歳以上の高齢者腹部緊急手術301例について,その疾患構成の特徴,死亡率,入院期間などについて検討した。平均年齢は85.6歳(最高齢99歳)。疾患別ではイレウスが85例と最多であった。イレウス,ヘルニア嵌頓,消化管穿孔,虫垂炎を合わせると全体の85%となっていた。Oncologic emergency症例は52例(17.3%)であり,大部分は大腸癌が原因であった。周術期合併症は99例,術後死亡は30例で認めた。平均在院期間は26.1日であった。術後合併症を認めた症例では入院期間が長くなっていた。これから迎えるさらなる高齢化社会において,高齢者腹部緊急手術の増加は避けることができず,その特徴を十分に理解しておく必要がある。