日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
胆囊捻転を伴って頸部からWinslow孔へ嵌頓した遊走胆囊の1例
和久 利彦
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2017 年 37 巻 4 号 p. 617-620

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抄録

症例は79歳の女性。7日前から続く右肋弓下痛のため当院を受診した。腹部造影CTやDIC-CTで,胆囊の腫大と壁肥厚,らせん状になった胆囊頸部がみられた。胆囊壁の造影効果は失われていなかった。胆囊は総胆管に圧排され,胆囊頸部腹側を走行する像がみられた。血流障害の程度が軽度な胆囊捻転症が疑われ腹腔鏡下に緊急手術を行った。胆囊は暗赤色で緊満しており,胆囊頸部はWinslow孔へ嵌頓し大網・十二指腸・大腸・肝十二指腸間膜が癒着していた。癒着剝離,頸部嵌頓整復で,胆囊頸部を中心に反時計回りに360°捻転した胆囊捻転症が判明した。胆囊はGross Ⅱ型の遊走胆囊であった。胆囊の粘膜面の一部には虚血による壊死もみられた。胆囊捻転症は,血流障害から胆囊壊死を生じる場合もあり緊急手術の適応である。さらに内ヘルニアを伴う場合は血流障害が加速される可能性があり,一層迅速な診断と緊急手術が必要になると考えられた。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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