日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
腹腔鏡下横行結腸切除術後12日目に腹腔内出血をきたした1例
太田 裕之園田 寛道清水 智治植木 智之三宅 亨目片 英治谷 眞至
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2017 年 37 巻 5 号 p. 759-761

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抄録

患者は77歳,男性。横行結腸癌に対してEMR施行後の追加切除を目的として腹腔鏡下横行結腸部分切除術を施行した。術後4日目に抗凝固薬の副作用と考えられる下血を認めたが,その他に合併症は認めず術後11日目に退院した。退院翌日の術後12日目に突然の心窩部痛,嘔吐が出現し救急搬送された。造影CTにおいて脾動脈の末梢分岐から造影剤の血管外漏出を認め腹腔内出血による出血性ショックと診断した。ただちに腹部血管造影を行い,破裂動脈瘤に対してシアノアクリレートによる動脈塞栓術を施行して止血を得た。動脈塞栓術後の経過は良好で,術後3年を経過して再出血や動脈瘤の再発は認めていない。これまでに医学中央雑誌で検索した限りで腹腔鏡下結腸切除術後に遅発性の仮性動脈瘤破裂により腹腔内出血をきたした報告はなく,本症例は極めてまれであり教訓とすべき症例であると考えられた。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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