日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
診断に難渋し,局所手術で治療しえた魚骨の消化管穿通による腹壁膿瘍の1例
高山 裕司力山 敏樹
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2017 年 37 巻 7 号 p. 1035-1038

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抄録

症例は81歳,女性。心房細動に対して抗凝固薬を内服中であった。右季肋部の疼痛と腫脹を主訴に近医を受診したところ,腹壁血腫が疑われ,抗凝固薬を中止して経過観察された。しかし,徐々に増大するため当院へ紹介された。腹部造影CT検査で腹壁血腫が疑われたが,入院後も増大するため手術を施行した。手術所見では血腫疑いの腹壁病変は膿瘍であった。膿瘍内に11mm長の魚骨が認められ,膿瘍形成の原因と考えた。腹腔内との連続性は明らかでなく,開腹せずに膿瘍腔の洗浄ドレナージ術のみを行い,手術を終了した。術後経過は良好で,術後8日目に退院となった。魚骨誤飲による腹壁膿瘍形成はまれで,過去の報告では術式として開腹あるいは腹腔鏡手術が選択される症例が多い。今回われわれは,診断に難渋し,局所手術で治癒しえた魚骨の消化管穿通による腹壁膿瘍の1例を経験したので文献的考察を含め報告する。

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© 2017, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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