日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
肝切除後に発症した右横隔膜ヘルニア嵌頓の1例
寺西 立冴酒井 健司大澤 日出樹野呂 浩史山崎 芳郎
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2018 年 38 巻 1 号 p. 033-036

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抄録

症例は,74歳女性。前医で肝細胞癌に対するS4,6,7部分切除術の7ヵ月後に,腹痛,嘔吐で救急搬送された。血液検査は,炎症反応の軽度上昇を認め,胸部X線検査で右胸腔内の腸管ガス像,腹部造影CT検査は小腸の横隔膜上への脱出および造影不良を認めた。以上より横隔膜ヘルニア嵌頓と診断し,緊急手術を施行した。ヘルニア門は2.5横指で,終末回腸が右胸腔内へ脱出しヘルニア門で絞扼されていた。前回手術はS7腫瘤が横隔膜に接しており,一部横隔膜に切り込み剝離後,縫合されていた。ヘルニア門は肝切除術施行時の横隔膜縫合部位に一致し,横隔膜ヘルニアの原因と考えられた。また,絞扼された腸管は術中判断で温存できた。今回,肝切除術後に発症した横隔膜ヘルニアの1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

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© 2018, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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