日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
術前診断し得なかった切迫性特発性大腸穿孔の1例
牧野 曉嗣藤田 晃司菊永 裕行三浦 弘志三上 修治熊井 浩一郎
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2018 年 38 巻 1 号 p. 093-096

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抄録

症例は55歳,男性。早朝より自覚する腹痛を主訴に当院外来を受診した。腹部造影CT検査でS状結腸から直腸に便塊の貯留を認め,便秘の診断で帰宅となった。同日午後,疼痛増強のため,再来院し,発熱,腹部全体の圧痛,筋性防御を認めたため入院となった。腹部造影CT検査でS状結腸から直腸まで便の貯留および虫垂の軽度腫大と腹水貯留を認めたが,腹腔内遊離ガスは認めなかった。同日,急性虫垂炎の診断で緊急手術を施行した。血性腹水を認めたため,用手的に腹腔内を検索すると,S状結腸に不整な壁を触知したため,下腹部正中切開を追加した。S状結腸の漿膜・筋層の断裂を認め,切迫性特発性大腸穿孔と診断し,S状結腸部分切除術およびS状結腸単孔式人工肛門造設術を施行した。術後経過良好のため術後7日目に退院となった。

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© 2018, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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