2018 年 38 巻 4 号 p. 787-791
症例は42歳,女性。腹痛と嘔吐を主訴に前医を受診した。腸間膜脂肪織炎と腸閉塞の診断で保存的治療を受けたが,改善しないため当院へ転院した。入院後の腹部CT検査で腸管の固定不良と腸間膜の捻転による腸閉塞と診断して手術を行った。盲腸から下行結腸まで後腹膜への固定を認めない総腸間膜症を背景に,空腸起始部からS状結腸まで大網裂孔に嵌入した腸閉塞であった。手術はヘルニアを解除後にその原因となる大網を切除した。総腸間膜症は腸回転異常症の1つとされる。総腸間膜症に伴う大網裂孔ヘルニアの報告はこれまでになく,極めてまれな症例を経験したので文献的考察を加えて報告する。