日本腹部救急医学会雑誌
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特集:大腸憩室出血に対する診断と治療─各科からの提言─
大腸憩室出血に対する手術治療―消化器外科の立場から―
富沢 賢治的場 周一郎藤井 能嗣平松 康輔岡崎 直人花岡 裕戸田 重夫黒柳 洋弥
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2018 年 38 巻 5 号 p. 825-830

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抄録

食生活の欧米化や人口の高齢化などから本邦において大腸憩室症の保有率は増加傾向にあり,これに伴って大腸憩室出血の増加も予測され,病態に応じた適切な治療が重要となる。大腸憩室出血に対する緊急止血術としての第一選択は内視鏡的な止血術であり,不成功であった場合は動脈塞栓術が選択され,外科手術は最終的に考慮すべき治療である。手術を選択する場合は,術前に内視鏡やCTで出血源を同定し結腸全摘出術を避けることが望ましい。大腸憩室症は良性疾患であるのでより低侵襲な腹腔鏡手術の有用性や,繰り返す止血難渋例に対する待機的手術の可能性についても今後の検討課題である。

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© 2018, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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