2019 年 39 巻 1 号 p. 079-081
症例は61歳,女性。来院3日前より,上腹部から右季肋部にかけての痛みを自覚し,症状が持続するため当院を受診した。血液検査で炎症反応の上昇を認め,腹部CTで胃前庭部大弯側から胃壁外に貫通する30mm長の針金様の金属を認めた。数日前より,口腔内の歯科矯正治療器具を一部紛失していたことがわかり,歯科矯正治療器具の誤飲による胃穿通性腹膜炎と診断した。内視鏡下の抜去を考慮するも,弯曲した針金であり,その2/3以上が胃壁外に出ていると考えられたため,腹腔鏡下に外科的手術で摘出し,穿通部位を大網で被覆した。術後に合併症は認めず,術後7日目に退院した。今回,われわれは歯科矯正治療器具の誤飲による胃穿通性腹膜炎に対し腹腔鏡下摘出術を施行した症例を経験した。若干の文献的考察を加えて報告する。