2019 年 39 巻 1 号 p. 083-087
盲腸周囲ヘルニアは内ヘルニアの一種であり比較的まれな疾患である。今回,癒着性腸閉塞との鑑別に難渋した本疾患例を経験した。症例は虫垂切除の既往のある85歳女性で,腹痛を主訴に受診した。腹部造影CTで右下腹部に小腸の口径差を認め癒着性腸閉塞と診断し,イレウス管を留置し入院となった。入院翌日のイレウス管造影ではイレウス管の先端は狭窄部に達しているものの腹痛の改善が乏しく,絞扼性腸閉塞を疑い手術を施行した。鏡視下に手術を行い,腹腔内を観察すると,盲腸の外背側に小腸の嵌入を認め,外側型盲腸周囲ヘルニアの嵌頓と診断した。嵌頓を解除したが嵌入した腸管は壊死性変化をきたしており小腸部分切除を併施した。術後経過は良好で術後7日目に退院した。今回は虫垂切除の既往があり,かつ症状が重篤ではなかったため,当初は盲腸周囲ヘルニアの診断に至らなかった。また,本症例においては腹腔内の観察を含め鏡視下手術が有用であった。