2019 年 39 巻 1 号 p. 089-093
症例は41歳,男性。腹痛を主訴に来院した。精査で非絞扼性の腸閉塞と診断され,腸管減圧用チューブを挿入して腸閉塞は解除された。しかし,受診時の腹部造影CT検査で胃の腹側に上腸間膜動脈を認め,その走行から小網裂孔ヘルニアが疑われた。既往に腹腔鏡補助下大腸全摘術後の腸閉塞が複数回あり,過去の画像を見直すと同様の所見を認めたため,小網裂孔ヘルニアが腸閉塞の原因と考え,待機的に手術を行った。小網に約5cmの裂孔を認め,そこに小腸が脱出していた。小腸を整復し,小網裂孔を縫合閉鎖した。その他,腸閉塞の原因となる明らかな腸管癒着は認めなかった。良好な経過を得て術後第11病日に退院し,術後15ヵ月経過した現在,再発は認めていない。小網裂孔ヘルニアはまれな疾患であり,術前診断は難しいことが多い。しかし,画像を注意深く見ることで診断できる可能性や,治療方法として裂孔の縫合閉鎖が有効である可能性が考えられた。