2019 年 39 巻 1 号 p. 095-098
症例は93歳の女性。2017年1月に嘔吐,腹痛を主訴に,当院へ救急搬送された。腹部CTで右閉鎖孔への腸管の嵌頓と,嵌頓腸管より口側の腸管拡張を認め,右閉鎖孔ヘルニア嵌頓による腸閉塞と診断し,緊急開腹術を施行した。術後に麻痺性イレウスを発症し,術後2日目にイレウス管を留置した。イレウス管留置後7日目の腹部CTで空腸にtarget signを認め,腸重積症の診断で,緊急手術を施行した。手術所見ではTreitz靭帯から約60cm肛門側の空腸に,約20cmの順行性の腸重積と腸管壊死を認め,壊死腸管を含めた小腸部分切除を行った。摘出標本では腸重積の原因となる粘膜病変・粘膜下病変を認めず,イレウス管留置に伴う腸重積と診断した。今回,超高齢者の閉鎖孔ヘルニア嵌頓術後の麻痺性イレウスに対し留置したイレウス管が誘引となり発症した腸重積症を経験したので文献的考察を加え報告する。