日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
上腸間膜動脈塞栓症術後に発症した虚血性小腸炎に対し,小腸造影検査と術中内視鏡検査が有用だった1例
池ノ上 実田代 耕盛河野 文彰武野 慎祐中村 都英七島 篤志
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2019 年 39 巻 3 号 p. 515-518

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抄録

上腸間膜動脈 (superior mesenteric artery:以下,SMA)塞栓症に対する手術時の腸管のviabilityの評価は,従来色調やtonus,辺縁動脈の拍動,蠕動運動などによって評価されてきたが壊死範囲の正確な評価に決定的な所見を示すものはない。そのため,比較的viabilityが保たれている腸管に対しても予防的に腸管切除が施行され,結果として大量腸切除に至る症例が少なくない。また,虚血性小腸炎は,SMA塞栓症の後に発症することはまれだが,腸管の完全壊死には陥らないために診断が遅れることが多く,切除範囲の判断に迷うことが多い。小腸内視鏡や小腸造影は腸管を粘膜面から評価する方法として有用である。今回われわれは,腸管虚血が粘膜層から生じることに着目し,SMA塞栓症術後に生じた虚血性小腸炎に対する診断と切除範囲の決定に内視鏡と造影所見が有用だった1例を経験したので報告する。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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