2019 年 39 巻 3 号 p. 519-523
癒着性腸閉塞の防止対策としてセプラフィルム®(以下,SF)の有用性が認められている一方で,SFの有害事象の報告も散見される。SFが誘発した癒着が原因と考えられる腸管皮膚瘻の1例を経験したので報告する。症例は79歳の男性で,腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術の際にSFを貼付した。術後12日目に癒着性腸閉塞を発症したが,保存的に改善した。術後42日目に手術創に腸管皮膚瘻を併発し,緊急手術を行った。一塊となった小腸がSFを貼付した範囲の腹壁に強固に癒着し,肥厚した腹膜とともに一塊に切除した。病理組織所見で小腸漿膜下層の広範囲な線維化と異物を貪食した多核巨細胞を認めた。SFに対する異物反応が強固な炎症性癒着を誘発し,亜腸閉塞を繰り返して腸管皮膚瘻を形成したと考えられた。SFに対する異物反応が癒着を誘発する可能性があることを念頭に置く必要がある。