2019 年 39 巻 3 号 p. 595-599
症例は75歳の男性で,発熱,右腰痛を主訴に当院を救急受診した。憩室炎が疑われ入院となり,入院後抗菌薬治療が開始されたが症状は改善しなかった。第3病日に精査目的の腹部造影CTを施行すると,上腸間膜静脈内に広範囲な血栓を認めた。腸管壊死の所見を認めなかったことから,抗凝固療法による治療を開始したが,血栓の改善がみられなかったため上腸間膜動脈投与による血栓溶解療法を開始した。その後すみやかに改善を認め,第30病日に退院となった。5ヵ月後の検査で血栓症の再燃は認めていない。上腸間膜静脈血栓症の約80%は続発性であると報告されているが,自験例では凝固線溶系や自己抗体検査は正常であり,先行感染や既往疾患もないため特発性と診断した。高率に腸管切除を要する病態であるが,経カテーテル的血栓溶解療法による治療が有効であった。