日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
鈍的腹部外傷直後に発症した挫滅や壁内血腫を伴わない十二指腸球部円形穿孔に対して腹腔鏡手術を施行した1例
舘野 佑樹金田 祥明林 隆広手塚 徹
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2019 年 39 巻 4 号 p. 707-710

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抄録

症例は51歳,男性。昼食2時間後手押し台車の取っ手で,心窩部を打撲。直後からの強い心窩部痛で当院を受診。腹部板状硬で,白血球上昇を認めた。外傷性消化管穿孔を疑い実施した造影CT検査で,肝周囲にわずかなfree airを認めた。全身状態は安定していたため,受傷後8時間で緊急審査腹腔鏡を施行した。十二指腸球部前壁に挫滅を伴わない十二指腸潰瘍穿孔様の円形穿孔と汚染腹水を認めたため,引き続いて,十二指腸潰瘍穿孔に準じて腹腔鏡下に穿孔部単純閉鎖術,大網充填術,洗浄ドレナージ術を施行した。術後経過良好で,術後9日目に退院した。本症例は鈍的外傷後に発症した十二指腸穿孔であるが,外傷による直接の十二指腸損傷としては極めて非典型的で,内因性十二指腸潰瘍部に加わった外力で生じた穿孔の可能性もある。非常にまれな経過の十二指腸穿孔症例だが,本症例のような特殊例では,腹腔鏡は診断から治療に円滑に移行でき有用であったと考える。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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