2019 年 39 巻 5 号 p. 935-938
症例は80歳男性。左鎖骨上窩リンパ節に低分化腺癌の転移が出現し,約20年前に手術した胃癌組織像と類似していた。CTでは右上腹部中心の多発性リンパ節転移と肝細胞癌を認めたが,他に悪性腫瘍を疑う所見はなかった。生検した転移リンパ節の免疫染色での発現型CK7+/CK20−とCT所見から胃癌再発と診断し化学療法を行ったところ,転移リンパ節は著明に縮小した。化学療法開始約8ヵ月後に右側横行結腸穿孔のため結腸部分切除術を行った。切除標本に穿孔を伴う低分化腺癌を認めたため,左鎖骨上窩リンパ節転移の原発巣特定目的に,胃癌組織を含めた免疫染色による再検討を行った。その結果,CK7+/CK20−/CDX2−かつミスマッチ修復機構の欠損を示す深達度T3の大腸髄様型低分化腺癌およびそのリンパ節転移と診断した。癌部穿孔の一因として化学療法の抗腫瘍効果が考えられた。