2019 年 39 巻 5 号 p. 939-943
症例は45歳男性。普通乗用車を運転中にガードレールに正面衝突して救急搬送された。上腹部の圧痛に加え,軽度の貧血と肝胆道系酵素の上昇を認めた。腹部エコーで肝下面にecho free spaceがみられ,腹部造影CTで胆囊床部にextravasationを認めた。胆囊床部カントリー線上の外傷性肝損傷と考え,出血性ショックを伴っていたため緊急開腹手術を施行した。腹腔内には多量の血液が貯留していた。肝流入血流遮断を行い,腹腔内を観察すると,著明に腫大した胆囊が胆囊床から外れていた。胆囊は胆囊管と胆囊動脈のみで肝十二指腸間膜と連続しており,胆囊損傷としてはavulsionと分類した。胆囊摘出後に肝流入血流遮断を解除しても新たな出血は認められず,今回の出血源は胆囊外傷による胆囊動脈の損傷と考えられた。頻度はまれであるが鈍的外傷による胆囊avulsionは,治療方針の決定において肝損傷との鑑別を要する重要な腹部外傷の1形態である。