2019 年 39 巻 6 号 p. 1057-1060
癒着性索状物による回腸圧迫のために不完全な通過障害をきたし,画像上の閉塞機転を認めなかった再発性腸閉塞に対して,審査腹腔鏡により診断し治療し得た1例を経験した。症例は50歳代,男性。2年前に他院で腸閉塞と診断されたが,閉塞機転は不明であった。1年6ヵ月前にも腸閉塞症状を認めたが,絶食で軽快した。以後も腹部膨満や腹痛を繰り返し1年4ヵ月前に当院を受診したが,精査で閉塞機転を認めなかった。しかし症状が持続するため当科に紹介となり,審査腹腔鏡を施行した。索状になった大網が下行結腸に癒着し,この索状物が回腸終末部を圧迫していた。腹腔鏡で索状物を切離したところ,反復する腹部症状は消失し経口摂取も安定するようになった。原因不明の反復する腹痛に対する審査腹腔鏡は低侵襲で,治療可能な病態を的確に診断し治療に移行することが可能であり,有用な選択肢と考えられた。