日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
腹腔穿刺が有効であった緊張性気腹の1例
上江洌 一平鹿川 大二郎知花 朝史知念 順樹長濱 正吉友利 寛文宮里 浩又吉 隆
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2019 年 39 巻 6 号 p. 1137-1140

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抄録

症例は69歳,男性。Parkinson病の既往があり他院に入院中であったが,気道狭窄疑いで当院に救急搬送された。喉頭内視鏡検査で両側披裂部に著明な浮腫を認め,両側声帯は麻痺していたため,気管挿管し気道確保した。第3病日に抜管したが,抜管後より努力呼吸がみられたためジェット換気を行いながら再挿管した。挿管中より腹部膨満が出現し,意識レベル低下,血圧低下がみられた。CT検査で食道胃接合部で壁の途絶像がみられ,腹腔内には大量のfree airが貯留していた。緊張性気腹と判断し,右下腹部から16Gサーフロー針で穿刺脱気を行った。腹部膨満はすみやかに改善,ショックからも脱し,その後の経過は良好だった。今回,われわれは発症がまれな緊張性気腹に対して腹腔穿刺で保存的に救命した1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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