2019 年 39 巻 6 号 p. 1141-1143
症例は44歳,女性。下腹部痛を主訴に救急搬送された。造影CTで絞扼性腸閉塞と診断し,緊急で腹腔鏡下手術を施行した。子宮と小腸間膜の癒着で形成された間隙に回腸が嵌頓,絞扼していた。癒着剝離を行い,絞扼を解除したが,切除温存の判断が困難な肉眼的色調不良部位を認めたため,蛍光ICG法で血流評価を行った。10秒程度で直動脈から腸管壁内への流入が認められ,腸管壁全周での蛍光を確認できたため,腸管切除は行わなかった。術後経過は良好で,術後6ヵ月経過し,遅発性の合併症も認めていない。切除温存の判断が必要な絞扼性腸閉塞に対し,腹腔鏡下に観察可能なICG蛍光システムを用い,詳細な血流評価を行うことで,腸管温存の判断が可能であった。小開腹を追加しての体外での腸管評価や,不要な腸管切除を回避し,低侵襲な治療を施行しえた1例を経験したので報告する。