2019 年 39 巻 6 号 p. 1171-1174
症例は67歳,女性。6年前に下垂体腫瘍摘出術を施行され,汎下垂体機能低下症に対してホルモン補充療法が行われていた。嘔吐,腹痛で発症し,前医で腸炎と診断され加療されるも軽快せず,当院へ救急搬送された。診察中にショックバイタルとなり,大量補液,カテコラミン投与,ヒドロコルチゾン投与を行ったが,乳酸アシドーシス,血圧低値が継続した。造影剤アレルギーのため造影CTは施行できず,腸管虚血鑑別のため審査腹腔鏡を行った。鏡視下では拡張した腸管のため,十分な観察が困難であったため,開腹移行し全腸管を観察した。明らかな腸管の壊死所見は認めなかったため,ドレーンを留置して手術を終了した。術後は抗生剤,ホルモン補充療法により全身状態は改善した。血液培養,便培養からSalmonella(O8群)が検出され,本病態はサルモネラ腸炎に起因する副腎クリーゼであった可能性があると推察された。