2019 年 39 巻 6 号 p. 1175-1177
遊走脾は脾臓固定靭帯の欠損または形成不全により脾臓が正常な解剖学的位置である左上腹部に固定されずに腹腔内に遊離して存在するまれな疾患である。普段は無症状であるが,茎捻転を起こすと激しい腹痛をきたす。今回,われわれは急性腹症で受診し緊急腹腔鏡下脾臓固定術により脾臓を温存し得た遊走脾捻転の1例を経験した。症例は13歳男児で突然の激しい上腹部痛で救急外来を受診。腹部CT検査でうっ血,腫大した脾臓を左上中腹部腹側に認め,遊走腎の茎捻転と診断し緊急腹腔鏡下手術を実施した。手術所見では固定されていない脾臓が反時計方向に3回転捻転し著明にうっ血・腫大していた。捻転を解除するとうっ血所見が改善したため,脾摘の必要はないと判断し,脾臓が本来あるべき左横隔膜下にメッシュを用いて固定し手術を終了した。術後経過順調で4病日に退院し2年8ヵ月を経過した現在まで再発を認めていない。