日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
高齢女性に生じた遅発性外傷性横隔膜ヘルニア嵌頓の1例
多田羅 敬直 聖一郎中島 幸一佐竹 信祐山崎 良定
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2019 年 39 巻 7 号 p. 1209-1212

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抄録

症例は73歳女性。9ヵ月前に転倒し,右肩から右胸部を強打して右肩腱板断裂で手術を受けた。前日夜からの心窩部痛の増悪を主訴に当院救急搬送された。造影CTで腸管の右胸腔内への脱出,腸管拡張,および横隔膜を起点とした脱出腸管のclosed loop sign,造影不良を認めたため,右横隔膜ヘルニア嵌頓による絞扼性腸閉塞の疑いで緊急手術を行った。移動性盲腸の所見であり右横隔膜のヘルニア門を通じて,回腸末端から約10cmの回腸が約30cmにわたり胸腔内へ脱出,嵌頓していた。横隔膜はヘルニア門以外にも亀裂がみられ脆弱であった。ヘルニア門を切開し絞扼を解除したところ,嵌頓腸管は壊死していたため,壊死腸管切除と横隔膜修復を施行,手術を終了した。術後経過は良好であった。今回われわれは外傷の9ヵ月後に発症した遅発性外傷性横隔膜ヘルニアの1例を経験したので報告する。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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